「先生・・・旦那・・・」
弦九朗が緊迫の状況の中、重い口を開く。
「俺は・・・こいつらを・・・育てることは出来ない・・・」
「おいおい、いきなりなんだよ!」
「そうですよ。」
「・・・俺は、人間として生まれた。でも、関わった人間みんな俺のことを嫌って・・・それで鬼になって人を殺し続けたんだ。それに、こいつらを育てられるくらいの環境もそろえてあげることは出来ねぇ。こんな俺が、こいつらを育てることなんて・・・」
「放棄すんの?この子達のこと。」
祇儀は、少し怒った口調で弦九朗にそう返す。しかし、正嗣は何も返さない・・・返せないでいた。
「この人も、ある意味、子供捨てられたんだよね。」
祇儀はそういいながら正嗣を指さす。
「言っちゃっていい?」
「・・・はい・・・。」
「この人、女郎蜘蛛に一方的に好意を寄せられて・・・家まで押しかけられたんだって。で、その精神的ストレスって言うのかな、それで奥さんが倒れて、そのまま亡くなったんだ。で、この人もその後、精神的ショックで部屋に閉じこもったまま、出てこなくなったんだ。それで、娘さんが家飛び出して、帰ってこなくなっちゃんたんだ。」
「でも・・・あの後、凛香や・・・妖のみんなが椿の居場所見つけてくれて・・・今は、旅させてみることにしたんだよね。」
弦九朗は、祇儀と正嗣の話を聞いて、考え直そうとするが・・・心の中で自信を失っていく。それを見抜いた祇儀は・・・。