「もしも~し!急患だって、状態教えて。」


声の主は、祇儀。凛香と同じ医師の男である。


「僕も今そっちに向かっているところなんだ、ちょっと待って。」


正嗣は、弦九朗に携帯を渡す。

「こ・・・これ・・・。」
「これに向かって話して。」

弦九朗は、祇儀の子供たちの状態を話し始めた。それを聞いた祇儀は「すぐそっちに向かいます。場所に着いたら、狼煙を上げてもらっていいですか?」と弦九朗に指示を出した。


チン・・・


「清澄、ごめん。行ってくるわ。」
「置きおつけください、院長。」
「あ、あと凛香に伝えといて。」
「何でしょうか?」
「今日“話したいこと”あるから寝ないでくれって(笑)」
「かしこまりました。」


祇儀は黒いコートを着ると少し大きなバックを持って院長室を後にした・・・。