「この山の麓にいるって事か。」

そういうと、弦九朗は「戻ってくるまで、がんばるんだぞ。」と言って祠を出た。


数時間後


弦九朗は、山の麓に到着する。そのすぐ近くに明かりのついた家を見つけた。しかし、どうしても人間に対しての憎悪が彼の動きを止めていく・・・

「えっと・・・あいつは人間で・・・眼鏡で・・・」

「どうされました?」

「いや、あの、このおと・・・」

弦九朗の後ろにいたのは、レインコートを着た正嗣だった。



(こいつだ!!絶対こいつだ!!!)



「ど、どうされたんで・・・」
「助けてくれ!!お願いだ!!ガキ達を助けてくれ!!」

正嗣の言葉を遮るかのように、懇願し始めた弦九朗。正嗣は慌てながらも「落ち着いて、落ち着いてください!!」と冷静に対応し始めた。


数分後

「ちょっと待っててくださいね。」

正嗣はそう言うと、携帯を取り出しどこかに連絡し始めた・・・

「もしもし。」

電話から聞こえてきたのは、男の声。正嗣は「清澄さん!凛香か祇儀(しぎ)さんいない?」
と声を掛ける。


「凛香先生はオペ中です。祇儀先生は・・・ちょっと待ってくださいね。」


電話の声の主、清澄が保留にしている間、正嗣は弦九朗に「お医者さん呼ぶから、場所教えて。」と弦九朗に尋ねた。


「あの山の中のボロ祠だ。」
「じゃ、その間に向かいましょう!」


携帯を掛けながら、山道を登っていく正嗣と弦九朗。そんな時、電話から再び男の声が聞こえてきた・・・。