その日の晩

弦九朗は、菊の花束を持ってある場所に向かっていた。
薄暗い坂道をゆっくりと足を勧めていく。
そして、ある墓の前に着いた・・・。


「ひさしぶりっす、旦那。」


菊の花束を置いたその場所は、正嗣の墓だった。弦九朗は、静かにその場にしゃがむと手を合わせ、静かに目を瞑った。