「許さない・・・あのくそ犬・・・。」



“絶対ニ、許サナイカラ・・・”



その言葉を発した瞬間、虎黎と弦龍の周りを黒紫の蝶が無数に舞い始める。


「お兄ちゃんにこんなことする奴・・・許さないんだから・・・。」


虎黎は胸元から黒色の扇子を取り出すと、さっと開く。そこには、朱色と紫色で描かれた蝶が描かれている。


「よろしくね、みんな。」


虎黎はにこっと微笑みながらそう呟き、ふわっと扇子を仰いだ。すると、黒色の蝶達はふわふわと扇子の指す方角へと飛んでいってしまった・・・。


「さ、今度は私たちの番だから。ね、お兄ちゃん・・・。」


そういいながら、虎黎は扇子で眠る弦龍を扇いでいた・・・。