その言葉が、縁側の空気を冷たいものへと変化させていく。緑涼がその言葉を取りこぼさないようにじっと耳を傾ける中、禮漸は話を続けていく・・・



「俺が最初に“牢屋入り”した時、一緒の日に牢屋入りしたのが弦龍なんすよ。あいつは、気に食わない相手をぼっこぼこにして、病院送り“再起不能”にして牢屋入りしたらしいっす。」


「・・・」


「その後、お互い出たんですけど、出て戻るを繰り返すたびに顔会わしてた仲でして・・・書類を見た瞬間・・・どうしていいか判んなくなりました。」


「・・・」



「こんな形で会いたくなかった・・・こいつとは・・・」



ポロポロと、禮漸の目から零れ落ちる涙。髪ではっきりとは見えなかったが、その顔は悲しさと悔しさを物語っていた。
緑涼も、どう言葉を掛けていいのかわからず、ただ泣き崩れる禮漸を慰めることしかできなかった・・・。



「そっか・・・」



壁を挟んでその話を聞いていた弦九朗。
何かに思い吹けるようにすっと天井に目をやった。そして、元の位置に視線を戻すとくいっと酒を口にした・・・