「外の光景見て驚いてるっしょ?」
「は、はい。」
「椿ちゃんが眠ってる2週間の間にねすごい事が起きたんだよ(笑)」
「そう・・・なんですか・・・2週間・・・2週間!!」
「そう、2週間!すんごいぐっすり眠ってたよ(笑)」
(2週間も眠ってたんだ・・・私・・・)
椿が眠っていたその2週間の出来事を空我は、ニコニコしながら話し始めた。

2週間前

船の中では、拘束された涼香達と祇儀達がにらみ合っている。
「尚澄、瀧蒸・・・」
「瀧蒸は、悪くないじゃないか。」
「でも、あれは・・・。」
「あれは、晴澄(はるすみ)兄さんのせいじゃないか!!瀧蒸は、ただ何も知らずに・・・」
「俺も聞いたで、その話。」
尚澄と清澄の話に割ってきた涼香。うつむいていた顔をゆっくり上げ、冷たい目で清澄をにらみ付ける。
「あれらしいな、もみ消す為に瀧蒸をクビにしたらしいな。晴澄さんの事件を隠すために、罪を着せたらしいな~・・・ひどい兄貴やでな~尚澄!」
それを聴いていた骸も口を出し始める。
「俺もそれを聞いてここにいる。あんたさ、身内守るためだったら簡単に何でも切るんだな。っていっても、身内を犠牲にしてまで自分のポストが大事なんだな、清澄さんよ!!」
光と朔耶以外の動機はほぼ一致していた。
ただ瀧蒸は、無言のまま俯いている。重い空気が広がる中、重い口を開いたのは祇儀だった。
「晴澄君のことは、僕も信じられなかった・・・だけどね、僕たちにはそれを公表する勇気はなかった・・・本当に・・・ごめん。」

「もう、やめましょうや。」

祇儀の言葉をぶった切るように声を出したのは、瀧蒸だった。彼のその言葉に船内の空気が一気に凍りつく。

「もうやめましょうや!嘘つくの。俺たちが嘘をつき続ける事で、これ以上、身内同士で揉めるのは嫌っすわ!!」



瀧蒸からその言葉が出たことで、周りの空気がどんどん熱を取り戻していく。怒りの朱と冷静の白、二つが混ざり合っていくように・・・

「嘘って・・・どういうことなんですか?」

ベッドの上で事件の経緯を知った椿は、空我から次の言葉が出るのをただじっと待っていた。その時だった。