霧に包まれた彼らが降り立ったのは、鬼灯港の反対側に存在する洞窟の中だった。そしてそこにはかなり大きな船が止まっている。

「おせぇよ(怒)」
「とにかく早く乗れ乗れ!!」

すでに乗っている仲間に促されるように急いで船に乗り込む涼香達。しかし、船はかなり揺れている。

「吐いてる奴いるから、気をつけろ!」
「マジか(呆)」

そういいながら、涼香達は倒れている仲間を避けるようにして船内を進んでいく。そんな時だった。尚澄の携帯が船内に鳴り響く。その画面には“香澄姉さん”の表示が……

「えっ、なんで?!」
「どしたん?」

すると今度は涼香の携帯が鳴り響いた。そこに表示されていたのは“クズ野郎”の文字……

「あのクズ……(怒)」

涼香が応答に出たその瞬間、船の明かりがすべて一斉に消えてしまう。船を動かすエンジンも動かない。

「いくらなんでも、これはやりすぎじゃないかな~涼香君。」

涼香の携帯から聞こえてきた祇儀の声。いつもの様に飄々とした話し方ではあるが、言葉の節々で怒りが篭っている。その横で、尚澄も携帯の応答に出る。しかし、そこから聞こえてきたのは香澄ではなかった。