「それより、凛香と美麗さんは?」
「清澄さんと一緒に出て行っちゃいましたよ“しばきに行ってくる”って。」

それを聞いた火燐と風燕は、椿を挟んで小声でこう話す。

「しばくって。」
「凛香が切れてるべ(笑)」
「原形留めないだろうな、弟達。」
「でも、凛香の弟なんだべ!イメージ的に、強そうな気がするべ。」
「それに、清澄さんの弟もいるんだぜ。みんな曲者のような気がする。」
「すごい兄弟げんかが起こりそうな気がするべ(怯)」

間に挟まって聞いてみた椿も、彼らの話でイメージが膨らむにつれて恐怖が大きくなっていくのだった。
それから数十分後のことである。

どーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!

屋敷中に大きな振動と地面が抉れる様な地響きが響き渡る。そして、勢いよく応接間の扉が開いた。

「ただいま(怒)」

明らかに怒りが顔に出てしまい、般若のような顔をした凛香が、両手に男の首を掴みながら入室してくる。その後ろから、黒いレースの扇を仰ぐ美麗と同じく両手に男の首を掴んで引きずつ徳良、さらに、男をヘッドロックをしながら入室してくる清澄と刀をしまいながら禮漸、仮面を付け直した弦龍と虎黎と続いて入室してくる。

「弟がご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした!!」

清澄は、祇儀の前に引きずってきた男を正座させる。黒縁眼鏡の細身の男。ずっと下を向いたまま、ただ無言で頭を上げようとはしない。
「お前らも並べ!!」
そういいながら凛香は徳良と一緒に、引きずってきた男たちを祇儀の前に投げ捨てた。
「何でそんなんせなあかんねん!!」
「お前らのやったことで、みんな危ない目にあってるんだぞ!!」
「知るかそんなん!!」
「知るかではないだろう!!」
その光景を見ていた火燐と風燕は周囲にわからないように小声でこんな話を始める。