深夜2時
「美日月島上空到着!」
「いやぁ~、自動運転ってのは気持ちいいね(笑)」
強奪した飛行機で美日月島の上空に到着した涼香達。その背中には、それぞれ武器を背負っている。しかし、光は何も背負っていない。
「じゃ、はじめるか!!」
骸がその言葉と同時に飛行機のドアを開ける。激しい風が彼らを飲み込もうとするが・・・
「じゃ、行ってくるわ!」
にこっと笑いながら、いつもと違う明るい声でそう話す光。そして「じゃ、あとでね~!」と言うとすっと飛行機から飛び出していった。
暗闇の中に溶け込んでいく光
その姿は、徐々に獣へと変わっていく。
数秒の間に、鋭くシャープな獣になり、黄金色の糸のような髪を靡かせている。獅子のような姿・・・それが雷獣としての光の姿である。
“椿チャン・・・モウスグ会イニ行クカラネ・・・”
光は、大きく口を開くと大きく身体をそらし一気に空気を吸い込む。そして、身体を戻す反動と同時に美日月島に向かって大きな雄叫びを上げた。放った雄叫びは、島に張られた結界を振動と雷で壊し始めた。
骸は、静かにドアの前に立ち瀧蒸に右手を下ろし合図を出す。瀧蒸は隣にいる尚澄と静かにアイコンタクトを取ると扉を開けた。
「ほな、いこか!!」
涼香はそういうと、自分の身体を大きく乗り出させ、隣にいる骸に向かって静かにうなずいた。
「行くぞ!!・・・GO!!!」
骸のその合図とともに全員一斉に飛び出した。美日月島へと向かって・・・