「何年振りでしょうか、このように顔を向かい合わせにして話すのは。」
「何年振りじゃろうな・・・正嗣の結婚式ぐらいの時が最後じゃないか、のう?」
その問いに祇儀が「そうだと思うよ(笑)」と返す。
「その正嗣様が・・・今も信じられませんわ。」
「そうじゃろうな。この子がその忘れ形見じゃ。」
凛香はそういうと、椿の所まで駆け寄り、そのまま美麗の所まで引っ張っていく。
「あなたが・・・」
「は、春河椿です・・・。」
「椿さん・・・お父様には大変お世話になりました。」
そういいながら、美麗は深々と頭を下げる。それに驚いた椿は慌てながら「いえいえ!そんな!こ、こちらこそ。」と頭を下げながら「生前お世話になりました!」と礼をする。その姿を見た徳良は・・・

「美麗様が、美麗様が頭を下げられている!!こんなレアな事はない!」

興奮しながら、小型カメラで何枚も撮影する。その様子を見ていた祇儀は「本当、美麗ちゃんのこと好きなんだね(笑)」と呆れながら話す。
「はい!愛してるっていう言葉で収まらないくらい愛しています!どんな事があろうと全身全霊、全てをかけてお守りするためにここにきたんです!」
「そ、そうだね(笑)」
その様子に気がついた美麗は、椿に「少々お待ちください。」とだけ伝える。そして、ドレスのスリットから見え隠れしていた鞭を手に取るとそれを徳良に向けて振り下ろした。

「徳良、うるさい!」
「申し訳ございません、美麗様。」
「あと、今撮っていた写真はすべて消しなさい(怒)」
「かしこまりました・・・。」

すると後ろから「とにかくさ~みんな家、帰ろうよ~!!」という香澄の声が聞こえてくる。それを聞いた美麗が「そうですね(笑)」と笑って返事をする。
「では、ご案内いたします。」

美麗の後に続くようにして、椿達は屋敷へと向かうのだった・・・。