船はどんどん航海を進める。
看板に出て、キセルに火をつける禮漸。その後ろからカツカツと靴音が聞こえる。
「久しぶりだな。」
「おう。似合ってんじゃん。」
「そっか?モテるかな(笑)」
「そんな事いったら、虎黎ちゃん怒んぞ(笑)」
キセルを銜えた弦龍が禮漸の横に並ぶ。昔のようにニコニコしながら話をする彼らの様子を祇儀は遠くから眺めている。そんな事を気にも留めず、彼らは話を続けた。
「やばいんじゃないの?」
「何が?」
「ここで俺と会ってるってばれたら。」
「大丈夫だって(笑)っていうか、監視どっかにいるし。」
「なおさら駄目だろ(笑)」
「ビビッてたら、終わりの様な気がすっから。」
そういうと、キセルを口から離し、ふっと煙を空に向かって噴出した。
「お前みたいに変わらないといけない。俺だって兄貴として虎黎を守らないといけない。だから、ビビッてなんかいられねぇ。これで罰を受けるんだったら、受けて立ってやろうと思う。それで変われるんだったら(笑)」
「かっこいい事言ってっけど、多分アウトだぞ(笑)」
笑いながら話す姿は、数百年前の幼かった彼らに戻っていた。
「大王様。」
「あっ(笑)」
「お願いです。お兄ちゃんに罰を与えないでください。私が代わりに・・・。」
「どれが罰になるの?」
「えっ?」
「僕は、他の世界への入界は禁止したけど、接見まで禁止した覚えはないよ(笑)」
祇儀はそういうと、虎黎にのこっと笑顔を見せ、再び彼らの様子を見つめていた。