「虎黎。」
「な~に~・・・」
「なに拗ねてんだよ(笑)」
「だって、お兄ちゃん人間に目がいき過ぎなんだもん(怒)」
「はぁ?誰があんな人間に興味があるんだよ。人質にするのに丁度いいと思ってな。」
「ならいいんだけど・・・」
キセルを銜えながら春河家を覗いている男・・・弦龍。
妖の中でももっとも凶暴とされる酒呑童子の男。
自分の欲の為なら、強奪も殺しも・・・どんなことでもやってのけてしまう。
その弦龍の隣で拗ねている男・・・虎黎。
弦龍の弟で茨木童子の男なのだが、身形、口調、しぐさすべてが女性にしか見えない。常に女として生きる虎黎は、兄である弦龍を慕い、恋にも似ている気持ちで支え続けている。
「とにかく、あの子は使えそうだな(笑)」
そういいながら、弦龍は不敵な笑みを浮かべるのであった・・・。