「皆様、本当に申し訳ございません!!」
清澄は、入ってくるなりいきなり土下座。あまりにいきなりの事で、緑涼は思わず「頭上げてください。」と声をかけるのだが・・・
「いえ、私の責任です。私の監督不行き届きでございます。弟がご迷惑をお掛けし誠に申し訳ございません!!」
「ちょ、ちょっと待って!弟って!」
「燐香の弟じゃねぇってことべか?」
凛香も清澄も“自分の弟が”と言い出すので、みんなの頭が大混乱。それを見た祇儀は、おもわず補足に入る。
「たぶんなんだけど、この箱を詰めたのは凛香の弟の“涼香(りょうか)”みんなの事をリサーチして、この紙を作ったのは清澄の弟“尚澄(なおすみ)”だと思う。ちょっと色々あってね、今、家を出て行っちゃってるんだ。どこに居るかはわかるんだけどね・・・。」
一瞬の沈黙
経ちこめる空気が重くなっていく・・・。
「とにかく今は、一旦ここを離れたほうがいい。あいつらの事だから、きっとお前らの事を全部調べ上げていると思う。こんな事をしてくるぐらいだから、身の安全は保障できない。だから、こいつみたいにしばらく避難したほうがいい。」
弥勒の肩を持ちながらそう話す広重。彼曰く、弥勒の店に差出人が広重になっている荷物が届き、たまたま店に居た広重が受け取り拒否の手続きをその場でとったそうだ。
「姉貴、清澄の兄貴・・・申し訳ないんですが俺、見つけたら手を出すかもしれません。俺の大事な友達を危険にさらしたんで・・・。」
凛香と清澄は、無言で首を立てに振った。しかし、弥勒は・・・
「広重、殴っちゃ駄目だよ。ちゃんと話を聞いてあげなきゃ駄目だよ。」
とやさしく悟るのだった。
「とにかく、おら達は狙われているってことだべな。」
「そうだ。」
「・・・ほんの少しだけ、時間をくれ。」
緑涼はそういうと、徐に立ち上がり自分お部屋へと向かうのだった・・・。
その頃、車の中では・・・
「お兄ちゃん・・・。」
車の後部座席
強い結界に囲まれ、さらに両腕を封じた状態の弦龍と虎黎が座っていた。
マジックミラーの状態になっていた車の窓から、春河家の様子を伺っていた・・・