「うれしい・・・うれしいよ、朱桜。」
泣きながら、ニコッと笑顔を浮かべ橙梓は自分の気持ちを吐き出していく。
「まだ、生きてたとき・・・お兄ちゃん、何にもしてあげれなくて・・・ごめんな。今の生活になってからも、十分な生活させてあげられなくて・・・苦しめてごめんな。」
「・・・はぁ?」
「でもな・・・お兄ちゃんは朱桜の事が心配なんだ。大事な妹だから心配なんだよ、あの時みたいに・・・いっぱい、いっぱい怪我したり、苦しんだりしてるんじゃないかって。」
「・・・。」
「蒼もあいつなりに、朱桜やみんなの事見守ってたんだぞ。朱桜の事を聞いたら、お兄ちゃんと一緒に色々な役所に頭下げに回ってくれるんだ。変な奴がいたら、一緒にボコボコにして、役所に突き出したりもしてくれて・・・帰ってきてくれないか・・・お願いだから・・・」
「出尽くしましたか?」
呼吸が乱れるくらい沢山の言葉を吐き続けた朱桜と橙梓。
乱れ飛んだ言葉は、互いの感情を傷つけるものばかり。今まで築いてきたプライドもすべて崩していくものだった。
「だいぶ吐き出せたみたいだね、緑涼君。」
「そうみたいですね(笑)」
「じゃ、そこまで!もう8時前だから、みんなで朝ごはん食べよう!」
祇儀は、二人の肩をポンポンと叩き、正嗣と美佐子の墓の前に座ろうとしたときだった・・・
プルルル・・・
プルルル・・・
「うん?誰かな~(笑)」
ニコニコしながら、画面を見た祇儀だったが、すぐさまバックにしまってしまう。不思議に思った緑涼は「出なくていいべか?」と尋ねた。
「うん。」
その一言だけ話すと、祇儀は静かに二人の墓に手を合わせるのだった。