朱桜を守りきれなかった。
僕は先に死んでしまったから・・・


「俺は、朱桜に明るく、笑って過ごしてほしいんですよ。」


傷ついてほしくないんだ。
昔みたいに・・・


「それと、俺の視界から朱桜がいなくなるのが怖いんです。」


俺が死んだ後の朱桜の事を知っているから
だから、僕の傍にいてほしいんだ


「俺も朱桜も、殺されたんです・・・人間に。」


“ダカラ、守リタインダ。モウ、誰ニモ傷ツケサセナイタメニ。”


「俺達は、生まれてすぐに人間に捨てられたんです。俺と朱桜は必死で生きてきたんですけど・・・人間はそんな俺達に石を投げたり、いきなり蹴ってきたり・・・俺は当たり所が悪くって・・・朱桜が心配で・・・でも何も出来なくて、見ることしか出来なくて・・・俺は、どんな事をしても朱桜を守り抜こうって・・・駄目っすか?」

泣きそうな目で、周りに訴えかける橙梓。しかし、そんな橙梓に凛香はこう答えを返す。

「確かに。唯一の家族である朱桜を守りたい気持ちはよくわかる。しかしそれが、朱桜を苦しめているってことわかるか?」
「えっ?」
その凛香の後に続くように風燕と火燐がこう話した。
「俺達も人間に散々やられてきたから、気持ちはわかるけどさ・・・」
「んだ。でも、ちょっとやりすぎだべ。」

「や・・・り・・・す・・・ぎ・・・?」

頭の中が混乱し始める橙梓。そんな彼に、凛香はさらにこう話す。

「朱桜だって、自分だけになりたい時だってある。やりたい事だってある。お主は、そんな気持ちを見抜いているようには思えぬぞ。今の状態では、朱桜は、苦しむだけじゃ。お前らも、そんな朱桜の気持ちを知っていているから、常にアンテナを張ってガードしておったじゃろう。蒼は、橙梓の気持ちを知っておるから、姿形を変え探し続けていたのじゃな。」

その凛香の問いに、蒼は重い口を開くのだった。