「凛香は、どう思うべ?」
火燐が、凛香にそう尋ねると「そうじゃな・・・。」と呟き、少し考え始めた。
部屋を漂う重い空気
少しずつ音が無くなっていく・・・
「橙梓は、どう思ってんだ。」
その空気を一瞬のうちに切り裂いた広重の言葉。その言葉に誰もがきょとんとなってしまう。その後、広重はこう続けた。
「確かに、妹が暴れまくってんのは心配だろうけどよ、何で友達に探偵のような事をさせてまで連れ戻そうとするんだ。」と・・・
「僕は自分でこうしてるんです。橙梓に頼まれたわけじゃないんです。」
広重の話の後、間髪いれずに言葉を切り出した蒼。彼は、勢いで前かがみになった身体を戻すと、一息入れて「橙梓が必死に朱桜ちゃんを連れ戻そうとしている理由、僕は知ってるんで。」と話すのだった。
その頃、椿はキッチンにいた。
緑涼が丹精込めて育てた野菜たちを丁寧に洗って、皮を向き、切っていく。
少し蒸し暑いキッチンの小さな窓を開けると、椿の顔に爽やかで少し生暖かい風が触れていた。