「千夏。せっかくだから、それも着てみろよ」
真尋くんに言われ、クリーム色のワンピースも試着させてもらった。
こちらもサイズはピッタリ。

でも…、
"う~ん。
これもいいけど、ピンクの方が私好みだなぁ"

そう思いながらカーテンを開けると、
「こちらも良くお似合いですね!」と店員さん。

真尋くんは無言で私を見て、
「うん。千夏はさっきのピンクの方が似合う!
そっちを買って行くぞ。
すいません。
このピンクのワンピース、会計お願いします」
前半は私に、後半は店員さんに話しかけた。

「えっ…!?
ちょっと待ってよ、真尋くん!」
私は慌てて言うが、
「千夏は着替えて来い。俺が会計しておくから」
と、涼しい顔をしてレジへ行ってしまった。

隣の試着室では、薫とお兄ちゃんが同じようなやり取りをしていた。