「実を言うとですねー、僕は紅水晶の精霊なんですよー!」

大々的に言うと、ちらっと私を見る。

しかし私が口を挟まずに黙っていると、やがて話を続けた。

……ひょっとしたら、なにかこう
『えぇっ!?精霊……っ!?』
みたいなリアクションを求められていたのかもしれない。

しないけど。

「…しかし僕は見習いでして、立派に一人前の精霊に成るために試験をクリアしなくっちゃいけない訳ですよー」

自称精霊、わざとらしく溜め息をつく。

また少し間を作るが、もちろんのこと反応しません同情しません。

「……その試験っていうのが、僕とご縁のあったご主人様を誠心誠意、幸せにすることっ!…って、あれ!?ご主人様!?」

最後まで聞き終わる前に、私は石を元あった場所にきっちり置くと逃げ出していた。

「ご主人様ーっ!?ちょっと!待ってくださいよぅ!」

冗談じゃない。

こんな変な人(?)に巻き込まれてたまりますか。

敷地から抜けようとしたとき。

「宿題のお手伝いしちゃいますよーっ!」

と叫ばれ、ぴたりと足が止まった。

「…宿題の?」

「そう、宿題のー!インタビューしなきゃなんでしょう?」

……どうしよう。

明らかに悪い予感はするんだけど、いや、でも。