1つ突風が吹いて、止む。

目をそろそろと開けると、そこには人がいた。

「……え!?」

私が思わず叫ぶと、その声に反応してか閉じていた瞼が開く。

瞳は透き通るようなチェリーピンク。

長めの髪は白髪にも見えるが、光を受けて桃色に輝いている。

その人物は大きく伸びをすると、私に微笑みかけた。

「初めまして、ご主人様」

「……はい?」

え、なに、どーゆーこと。

っていうか誰。

っていうか何。

頭の中は大混乱だったが、あまりに驚きが大きすぎて声も出ない。

ぽかんと口を開けて固まっている私をよそに、ソイツはペラペラと喋りだした。

「いやーもうやっと拾って戴けてハッピーですよー!人ばっか無駄に通るくせに足元を見る人なんて誰もいないんですからねぇ」

…ちょっと、待ってよ。

「あの…拾うなんて言ってないです。っていうかその、面倒くさそうなので捨てていいですか」

けっこう本心からの言葉だったが、ナゼか本気で取り合ってもらえない。

「またまたぁ。」

と私を見てニヤニヤと笑った。

「僕は僕の力を欲している人が受けとる事になってるんですよー?」

…ワケわかんないし。

私がさっぱり状況が理解できていないのを察したのか、ソイツは勝手に説明を始めた。