「あ〜笑美〜、今来たん?」


トイレから帰ってきたらしい春君。


「ほんまや、笑美がおる。」


「ほんまや〜おはよぅ。」


・・・気付いてなかったんかい;

それでも話し掛けて来ない夏紀君。


気まずいんだろうな、きっと。


「笑美?」


あ。来た。
何か言ってるそばから、話し掛けて来た夏紀君。


「美空にさ、すまんって言うといて?」


誰にも聞こえないように、耳元で囁く夏紀君に、一瞬ビクっとした。


お姉ちゃんと、夏紀君は付き合ってるみたい。
よくわかんないけど、みたい。
そしてよくケンカする。
今日もしたらしい。


夏紀君は女癖が悪かったからね;

「分かった。」


それだけ伝えると夏紀君は、“すまない”みたいな顔を見せた。