そんな声も無視して、
ソッコーで楽屋に戻る。


『帰らんで・・・帰らんで・・・』


そんな言葉、呪文の様に唱えながら。


(紙・・・紙・・・、)


!!


よく分からないけど、適当に紙を破って、そこら辺にあったペンで、自分の番号を走り書きした。


“電話して”


そう、言葉を添えて。


奥からアンコールの声が聞こえる。


行かな・・・・。


楽屋から急いで出た。


そん時に目に入った警備員。


「2階席、3列目黄色のロンT、黒色の長い髪、これ渡して!!!」


めっちゃ急いでたから、これが伝わったかは分からん。
でもどうか、どうか伝わりますように・・・。見付けた恋を、手放す事が、ありませんように。