「付き合って下さいっ・・・」


一回目は、春君が言ってくれた言葉。


今・・・返すね・・・?


「こちらこそ、よろしくお願いします、」


どちらともなく、きつく抱きあって、何度もキスを繰り返す。


触れるぐらいの軽いキスから、
確かめるようなキスまで。


逢えなかった時間を埋めるように。


「あかん、盛った(笑)」


「何ソレ(笑)」


散々キスして、最後の言葉がそれですか。


「今日はとりあえず帰り?」


「うん、」


きつく指を絡めて、帰り道を歩く。


二度と、解けないように。


「短大通ってるんやて?」


「・・・何で?」


「夏紀君(笑)」


筒抜けか・・・(笑)


「アドレス・・・教えて。もう一回。」


消さなかったアドレス。


でも変えてると思うから。


「俺変えてないねん、笑美は?」

「・・・・私も。」


お互いの携帯の、アドレスを確認して笑った。


「消してなかったんだ」


「消せへんかって、」


「私も・・・」


まだどこかで、繋がっていたかったから。


どうしても、消せなくて。


「じゃぁ、また。な?」


「うん・・・、明日、会える・・・・?」


「家で待っとるよ。」


その言葉と同時に、鍵が飛んできた。


「ちゃんと取ってーや」


だってこんな小っちゃいの、取れるはずがありません。


「持ってたの?」


「鍵こそ捨てられん。」


あは(笑)そうかもね。


「ありがとう。」


そう言うと、もう29歳の彼が、無邪気に手を振ってた。


だから私も、同じように手を振って家に入った。


本当はもっと、見ていたかったけど(笑)