「元彼の事考えてんだ。」


全部見透かしたような言葉。


優は、いつだってそうだった。


全部知ってるような、


瞳で声で。


私はいつだって、見透かされるのが恐かった。


私は優からも、逃げてたんだ。


「指輪、つけてないから。」


「・・・。」


━行ける訳ない。━


そう言ったのは自分なのに。


何でいつも。


考えてしまうんだろう。


いつもいつも、


頭の中に居るのは。


何でいつも。


君だけなんだろう。


「未練たらたらなんだな。」


「･･････っ」


未練たらたらだから。


何も言い返す事が出来なかった。

「フラれたんだ？」


「・・・だから、何？」


自分で分かってる事を、人に言われると、イライラする。


完全なる、八つ当たり。


「・・・」


「優には関係ないじゃん。」


こうなると止まらなくて、


自分でも。


最低。


それぐらい、嫌な程分かる。


「俺じゃ・・・ダメなのか？」


「・・・え？」


「俺じゃ、ダメか？」


見ないようにしてた現実。


それは確かに、私に降り懸かってた。