「じゃあね〜薫〜」


「うん、バイバイ」


心配そうな顔で見てくる薫。


「大丈夫だよ。」


「・・・」


大丈夫だから、さ。


「じゃあね、笑美。」


「バイバイ。」


梨衣子とも別れて、まだ薄暗い道を一人で歩いた。


「ただいま、」


小さな声でそっと呟いて、そのまま部屋に向かった。


「・・・」


二人で撮ったプリクラを、ギュッと手に握りしめて、無言で部屋を出た。


もう、使う事もない合い鍵。


しっかりと握りしめて。


真っ暗な部屋。


(仕事だ・・・・。)


会わなかった事への寂しさと安心感で頭がぐちゃぐちゃ。


もう見る事の出来ない部屋を、一生懸命、目に焼き付けようとして。


辺りを見回す。


落ちないように、


落ちないように、


必死でなみだを堪える。


小さい紙に、今思ってる事全てを書くのは無理だから。





春君へ。



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