私は、ここに居るファンの人と同じになってるかな。


一人でうずくまって泣いてた。


周りの目なんか気にしなかった。

左指にはまだ指輪があって。


携帯にはまだプリクラが張ってあって。


家にはまだ合い鍵が置いてあって。


忘れた訳なんかじゃなかった。


見ないようにしてただけだった。

忘れられる訳なんて・・・


なかった。


このままじゃ・・・・


このままじゃダメだよね。


ちゃんと、ちゃんと終わらせなきゃ。


「笑美ちゃん、今日家泊まろう?梨衣ちゃんも一緒に、ね?」


もちろん、泣いてる私に気付かないはずもなくて。


コンサートとが終わって、心配顔の薫が声を掛けてきた。
同じく梨衣子も。


梨衣子の誕生日なのに。


ごめんね、梨衣子。


「・・・ごめん。」


薫の家に泊まる事になって、薫の部屋で話す。


本当の事、


梨衣子にももう、本当の事言わなくちゃ。


「春馬さんの・・・事でしょ?」

「え?」


事情を知ってる薫は、何となく。多分、分かってるんだと思う。


「私・・・さ。作、ちゃんと付き合ってたんだよね。」


何も知らない梨衣子に、話す事から始めよう。