「本当、お世話になりました。」

長かったような入院生活も、
今日で終わる。


「ありがとうございました。」


気が付けばもう、八月。
外は暑くてたまらない。


「笑〜美〜!迎えにきたよっ★」

「ありがと〜」


前には薫と梨衣子の姿。


「笑美が居ない間に修学旅行の事、いろいろ決めちゃったからね!」


「そっか、ごめんね何も出来なくて。」


「いいよ〜別に、ところでさコンサート!行けるんでしょうね?」

あー・・・そっか。
もうコンサートの時期だったんだ。


「うん。もう退院したし。大丈夫だよ」


「そっか、よかったぁ〜」


「・・・・」


はしゃいでる梨衣子の横で、私は一人俯いたままだった。


「ほぃ、じゃあもう転ぶなよ〜?」


さりげなく持ってくれてた荷物を私に渡して、二人は帰ってった。

「ありがとね〜」


「はいは〜い」




「ただいまぁ」


久しぶりに帰ってきた家は、
特に思う所もなく。
ただただ涼しかった。


「笑美、荷物置いてきなさい。」

「は〜い。」


携帯を開いても、着信はない。


メールを問い合わせても、


━新着メールはありません━


表示されるのは、いつも同じ言葉。