「じゃあ帰るかぁ」
「そーだね」
気が付けばもう、周りは暗くて。
「その前に着替えんとな捕まりそうや」
「アハハっ行ってらっしゃい!」
本当制服どーしたんだろ。
・・・何か眠いなぁ・・・。
素直にまぶたを閉じた。
だんだん後ろから足音が近付いてきて。
(春君だ・・・)
知ってるのに、わざと目を開けなかった。
そしたら、春君の香りが近付いてきて
「ごめんな」
って小さく呟いて、私の頬にキスをくれた。
・・・ごめんな。
何て。
・・・不安になんかなってごめん。
信じきれなくてごめん。
・・・私こそごめんね。
知らない内に本当に夢を見てた。
暖かくて、幸せな夢。
でも、最後に手が離れてくの。
「春君・・・」
そんな寝言、言ってたのも気付かなかった。
もちろん。
春君が優しく、頭を撫でてくれたのも。
気付かなかった。
「笑美、笑美。」