今年は当たり前のように、うやむやになった記念日。


宅配で届いた香水。


次はお互いに交換しようって約束したから。


春君がくれた、フルーツの爽やかな香り。


自分から、フワッて香る度。
私には辛い。


去年の今頃は、春君が仕事片付けてくれて、渡されたペアリング。

春君は、いつも右手にしてる。


左手は空いたまま。


《仕事だから。》


全部それで片付けなきゃ。


春君は・・・《アイドル》だもんね。


そして私は、『アイドルの彼女』だもんね。


我慢しなきゃ。


頑張らなきゃ。


春君の方が頑張ってるんだから。

私が不安じゃ駄目だよね。


私が信じないで誰が信じるの。


・・・ダメだって思うのに、


一人でに落ちた涙。


ドラマの中の春君は、


違う人すぎて遠い。


手を伸ばしても、


届かないみたいに。


そんな春君を見るのが怖い。


違う世界の人なんだって、


再確認してしまうみたいで。


近いのに、遠い。


胸が張り裂けそうに苦しいよ。


そんな顔で笑わないで。


今はただ、ファンの一人だから。