電車の時間が近づいてきたから、ホームまで走った。

電車の中は、いつもどおりかなり混み合ってる。

いつもなら麻子がいるのに今日は1人だから、少し寂しいし。

「あれ・・・?りこだっけ・・・?」

こんな声が聞こえてきたけど、自分のあだ名がりこと言うことを忘れていたからスルーしてしまった。

「りこ・・・?じゃない、あやこだ!!」
「え?!」

振り返ったその先には、浩哉が立っていた。

こんなに大声で浩哉の声を聞くのは初めてだったから、正直びっくりした。

「浩哉君・・・だっけ?」
「あぁ。」

もとの大きさに戻っている。

いつもの、感じの悪い浩哉だ。

無言。

家の近くの駅に降りるまで、ずっと無言のままだった。

「家、どっち?」
「へ?えっと・・・右側?」
「ふぅん、俺も。」
「あっ・・・そ。」

麻子がいたら、どんなに喜ぶか想像しながら家へ向かった。