その日の放課後、麻子の提案で浩哉に話しかけてみることになった。

放課後になったとたん、麻子のテンションは爆発寸前まで上がった。

「え・・・怖くない?」
「なんでよぉ、かっこいいじゃん!」
「そういう問題じゃ・・・」

そこまで言いかけたとき、浩哉がこっちに向かって歩き始めた。

どうやらお帰りの様子だ。

「ちょっ、麻子!行っちゃうよ!」
「あっ・・・待って、浩哉君!」

麻子の呼びかけに、浩哉がゆっくりと振り返った。

その時、あたしの背中には大量の冷や汗が吹き出てきた。

「何?」

もう終わったな、と心の中で呟いた。

でも麻子は嬉しそうな表情を見せている。

「浩哉君て、どこ中出身?」
「東三。」
「あ、あたしたち東二だよ!ね、あやこ!」

調子のいいときばかりあたしの名前、ちゃんと呼んでるし。

「ん、まぁ・・・」
「おうち、どっち?」

麻子は、あたしの話を無視するかのように浩哉に話しかけた。

麻子は、浩哉しか眼中に無い様子だ。

あたしは、そんな麻子をぼーっと見ながら、いつ会話が終わるのかとそわそわしていた。


PPPPPP・・・


「あ、ケータイ!ちょっと待ってて、浩哉君!」

どうやら今の着信は、麻子のケータイらしい。