週が明けた月曜日。


寝惚けた顔がちらほらと見えるなか、端から見れば榛名もその一人だった。



「目がうつろじゃない。寝不足?」


挨拶に気のない声で返事をした友人を、立ち止まった彩花が覗き込む。


「そんなとこ、かな」


頬杖をつく窓際の彼女を、彩花は訝しげに思った。


いつもの彼女はしゃっきりと背を伸ばして、窓の外を眺めているのに。


他を寄せ付けない品の良さが、今日はどこにも見当たらない。


気怠げにあくびをして浮かんだ涙を拭いもしない、そのまま突っ伏してしまいそうな彼女の前の席に着いた。



後で彼女の好きな紙パックのコーヒー牛乳を買ってきてあげようーー頭の淵にメモをすると、彩花は黙って鞄の中身を取り出した。






”あの場からすぐに離れていたら”と、この週末、何度思い返したことだろう。



同じシーンがぐるぐると巡っては、三浦の言葉で巻き戻されるのだ。



『慣れてるんだ、こういうのはーー』



結局は騒ぎを聞きつけた教師のおかげで、事無きを得た。


すんでのところで三浦を殴らずに済んだ上野は、事情を説明するよう、千原に促された。


もう一人の当事者・三浦はすっかり力が抜けてしまって、二人がかりでその後ろから運ばれた。