週が明けた月曜日。
寝惚けた顔がちらほらと見えるなか、端から見れば榛名もその一人だった。
「目がうつろじゃない。寝不足?」
挨拶に気のない声で返事をした友人を、立ち止まった彩花が覗き込む。
「そんなとこ、かな」
頬杖をつく窓際の彼女を、彩花は訝しげに思った。
いつもの彼女はしゃっきりと背を伸ばして、窓の外を眺めているのに。
他を寄せ付けない品の良さが、今日はどこにも見当たらない。
気怠げにあくびをして浮かんだ涙を拭いもしない、そのまま突っ伏してしまいそうな彼女の前の席に着いた。
後で彼女の好きな紙パックのコーヒー牛乳を買ってきてあげようーー頭の淵にメモをすると、彩花は黙って鞄の中身を取り出した。
*
”あの場からすぐに離れていたら”と、この週末、何度思い返したことだろう。
同じシーンがぐるぐると巡っては、三浦の言葉で巻き戻されるのだ。
『慣れてるんだ、こういうのはーー』
結局は騒ぎを聞きつけた教師のおかげで、事無きを得た。
すんでのところで三浦を殴らずに済んだ上野は、事情を説明するよう、千原に促された。
もう一人の当事者・三浦はすっかり力が抜けてしまって、二人がかりでその後ろから運ばれた。