直感というものは、どうして嫌味なタイミングで当たってしまうのだろう。


いわゆるピースサインに囲まれているのは、1人だけ開いた自分の手のひら。



しとしとと降り続く窓の外をよそに歓声が上がる中、榛名は絶句した。



「じゃあ、体育祭委員は上野と北村さんに決定な」



夏服に全面移行したこの頃、話題に上るのは体育祭だ。


七月に開催されるため、熱中症患者が少人数出てくるのも暗黙の了解で、"青春の一頁"として片付けてしまえばなんてことない、というご都合主義主催の行事である。


運動を不得手とする者にとっては極力目立たずに、いつでも応援に回っていたいほどだ。


できることなら日陰で。



「北村さん、よろしくな」


爽やかな声が後ろからやってきた。陸上部の上野である。


朗らかな性格でお馴染みの人気者に声をかけられようと、榛名の苦い顔は変わらなかった。






「はるちゃんもなかなか運がないね」


申し訳程度に眉を下げた瞬は、焼きそばパンを頬張った。


「体育祭委員ってなかなか大変みたいね。常にあちこち動き回ってるから」


彩花も隣で弁当の包みを解く。


三浦は黙って箸を進めている。



(みんな他人事だと思って、)


榛名は三人を恨みがましく睨み付けた。