直感というものは、どうして嫌味なタイミングで当たってしまうのだろう。
いわゆるピースサインに囲まれているのは、1人だけ開いた自分の手のひら。
しとしとと降り続く窓の外をよそに歓声が上がる中、榛名は絶句した。
「じゃあ、体育祭委員は上野と北村さんに決定な」
夏服に全面移行したこの頃、話題に上るのは体育祭だ。
七月に開催されるため、熱中症患者が少人数出てくるのも暗黙の了解で、"青春の一頁"として片付けてしまえばなんてことない、というご都合主義主催の行事である。
運動を不得手とする者にとっては極力目立たずに、いつでも応援に回っていたいほどだ。
できることなら日陰で。
「北村さん、よろしくな」
爽やかな声が後ろからやってきた。陸上部の上野である。
朗らかな性格でお馴染みの人気者に声をかけられようと、榛名の苦い顔は変わらなかった。
*
「はるちゃんもなかなか運がないね」
申し訳程度に眉を下げた瞬は、焼きそばパンを頬張った。
「体育祭委員ってなかなか大変みたいね。常にあちこち動き回ってるから」
彩花も隣で弁当の包みを解く。
三浦は黙って箸を進めている。
(みんな他人事だと思って、)
榛名は三人を恨みがましく睨み付けた。