"14時に青葉駅前の広場んとこで"


手元の画面を、この数時間で何度見返したことだろう。


部屋着のまま足をじたばたとさせ、もう一度読んでは固まり、枕に顔を埋めた。



事の始まりは、三浦の一言からだった。



『上手くいったら、その時は付き合ってよ』


そう言い残すなり体育の授業に参加して、周りをざわつかせたかと思うと、ハードルを軽やかに跳んだのだ。


そうして跳び終えた後には柔らかく笑っていたのだ。とても清々しい顔をして。



彼の自尊心を傷つけた、以前のことをこちらはあれほど悔いていたというのに。榛名は唇を噛んだ。



もやもやとした気持ちが心の奥を渦巻いていたところで、三浦はもう一度声をかけてきた。



「北村、あのさ」


”明日、時間ある?”


『開いた口が塞がらない』というのはこういうことかと、実感したのは初めてだった。


「買い物付き合ってほしいんだけど」


何食わぬ顔ですらすらと出てくる言葉に、榛名は目眩がしそうだった。


その瞬間までは。


「俺、じいちゃんと住んでるって言ったよな。そのじいちゃんが熱出して寝込んでるんだ」


途端に話の空気が変わったので、榛名は我に返った。


「おじいさんが?」


「うん。そんで買い物頼まれてるんだけど瞬には『部活だ』って断られて。ほら、さっき言ったろ?」



”上手くいったら、その時は付き合ってよって”