その容姿から、ハルは俺の事を同性だと信じて疑わなかった。
俺もいちいち訂正しようという気持ちは起こらなかった。
目下の悩みはいつ転校するかということだったからだ。
渋々別れてくれたものの、父が我が家を尋ねてくるかもしれない恐怖から、母が常に神経を尖らせていた時期だった。
けれども。
それとなく彼女の姿を探る公園で、"アキちゃん "と呼ぶ声に反応する。
振り返ると嬉しそうにぶんぶんと手を振っている。
それが徐々に日常へと溶け込んでいった。
何が楽しいのかも分からない、二人きりの鬼ごっこ。
俺の足はすぐに追い付いてしまうのに、ハルはけらけらと笑っていた。
ブランコに乗ればすぐに靴飛ばし競争。
それから泥団子づくりにも勤しんだ。
そうやって俺はハルと”同性”としての友達になった。