衝撃で倒れ込んだ先には、ひんやりとそして徐々に気持ちが悪くなる、冷たい感触。
泥まみれになった俺を見て、一瞬固まっていた三人は急に腹を抱えて笑い出した。
ハッタリ作戦は失敗に終わった、形勢逆転だーーそう思った瞬間だった。
「こら!何やってんのよ、あんたたち!」
威勢の良い声が後ろから飛んでくる。
振り返った先には、公園の入り口で見知らぬ女の子が仁王立ちをしていた。
ジャンパースカート姿の彼女は、長靴とお揃いの真っ赤な傘を杖のように扱って、ずんずんと此方へ向かってくる。
『なんだ、あの子』
『うちの学校じゃないよな』
手下がひそひそと話していると、女の子は倒れていた俺の真横に立った。
見上げていると、三角の形をしていた目と視線が合う。
それからへの字に曲げていた口が開いた。
『あんたら、揃いも揃って”女の子”いじめるなんて、最低よ!』
その言葉に誰もが疑問符を頭につけた。
”女の子”ーーそれが自分を指していることに気付いて、恥ずかしくなって身体中に熱が籠った。
『あはは!女の子だってさ!』
『誰がどう見てもそうだろ!やっぱ性別間違えたんじゃねえのー?』
『”アキちゃん”、女に見えるってよ!良かったなー!』
げらげらと腹を抱える三人衆にいよいよ腹が立って、ぬかるんだ地面を握り締め腰を浮かした、けれども。
俺が立ち上がるより先に動いたのは、彼女だった。