思い出そうとするが靄がかかったようによく思い出せない


「……私、事故で怪我したんじゃないよ」


えっ? と養母が私の言葉に首を傾げる


「だって私、知らない女の人と喋ってたんだよ? で、いつの間にか病院にいて……」


混乱している私を見た養母は落ち着かせる


「亜奈、落ち着いて。 多分事故のショックで何も覚えていないと思うの」


違う、と私はかすかに動かせる首を横に振る


確かに私は女性と話してた


ただそれが誰だったのか、話した内容も分からないだけで


「まぁ、ゆっくりと休みなさい、亜奈」


無理に思い出す必要はないわ、と養母が私の手を優しく握る


「……本当に違うの」


少し興奮したからだろうか、睡魔が襲ってきた


「……本当に、違う……」


意識がシャットダウンする前に言いたいことはあったが、言葉にならなかった