「でも、無理はするな。辛い時は辛いって言ってくれたほうが俺も分かりやすいから」


 幼い子に言い聞かせるように言う藍斗の表情は柔らかかった


「……藍斗も無理はしないで」
   

 私の頭を撫でていた藍斗の手をそっととると、私は包み込むように握った


「私も、藍斗の力になりたいの」


少し会わないうちに同い年の私よりも背が高くなり手も大きくなった藍斗


 疎まれる存在の私を見捨てないでいてくれたのは藍斗の優しさだった


ーーだから


「藍斗も私のことを気にせずにやりたいことだけをやって欲しいの」


ーー今度は私が藍斗を守りたい


「私は藍斗達とは違って『人間』だから何の力も無いけど、『人間』だから何か役に立てることはないかって思って」


 藍斗は私の話にじっと耳を傾けてくれる


「藍斗は『鬼』だけど、私のことをちゃんと守ってくれてるから他の『人間』も守れるはずだよ!」