だが、藍斗は久遠の声を無視して窓の外をじっと見つめる


「藍斗……?」
 

 私は藍斗に声をかけたがまったく反応しない


 久遠はハアっとため息をつくと藍斗に聞こえない声で私に話しかけた


「今はあんなだけど桂木が怪我したって聞いた時に一番狼狽えたのは藍斗だったんだ」


 久遠の言葉に私は少なからず驚いた


「藍斗が私を……」


 私は藍斗の後ろ姿をじっと見つめた


「なあっ、俺達もう帰っていいかー?」


 なぜか翔太が撫子を横抱きにーーいわゆるお姫様抱っこしながら私達に話しかけた


「もうっ、人前でこんなことするの!? 恥ずかしいじゃないっ」


顔を真っ赤にしている撫子は起こっている口調だが嬉しそうだ


「ーーお前ら帰れっ、ここは病院だぞ、イチャつくんだったら家にでも帰ってしろ!」


「えーっ、久遠は不純だなあ。家に帰ったら色々とヤバイんじゃないの?」


「……やっぱり、地獄にでも落とした方が早いか」


久遠が本当に怒ってる


「や、やだなぁ〜、そんなに怒んないでよ。あっ、それじゃあな! もう俺ら帰るーー‼︎」


「バイバーイッ! 亜奈も元気で!」