「無理を言うんではない。それよりも今後の活動予定を練らなくては。とりあえずこれらのグッズの分析から入ろう」

「このガイドブックを見れば、すぐ見つかるんじゃないですか」
洋子は、普通の旅行案内のようなガイドブックをパラパラとめくった。

「いや、そのガイドブックはこの俺発見ゲームのルールブックか解説書だろう。あまり役には立たないかもな。もしかすると、ヒントが隠されているかもしれんな。洋子君はそのガイドブックの隅から隅までを、よく見ておいてくれたまえ」

「はーい。きっと何かが隠されていますよ」

「私は、この端末を調べてみる」
大吉は携帯電話を一回り大きくしたような端末のスイッチを入れた。

しばらくすると、ディスプレーに文字が現れた。

《ようこそ、参加者の皆様。この端末は壱億円への羅針盤です。この端末の示す謎を解いて、是非俺のところまでたどり着いてください。》

「むむ。今回のこのゲームは相当な金が動いているな。いや、金だけではなく、人も動いている。面白い。実に面白いぞ。この鶴見大吉、全身全霊を掛けて謎を解く。金なんかは二の次だ」

「何を言っているんですか。お金ですよ。いちばん先生に必要なのは」

「それは、そうだ。が、これをきっかけに、日本一の探偵になってやるぞ」

「また先生のいい加減な妄想がはじまったわ」
洋子はため息をついた。