2002年3月8日の朝刊に、とんでもない広告が掲載された。

全国紙はもちろん主だった地方紙にも、掲載された規模は違えどもその広告は出ていた。

広告主は『俺発見委員会』という全く知られていない団体だった。

その広告の中身は単純で、《俺を探し出したら壱億円あ～げる》というキャッチコピーに、登録申請の方法が書かれているだけだった。登録の締め切りは3月21日。

日本中が沸き返った。

その広告についての賛否両論がマスコミをにぎわせ、有識者や文化人と呼ばれる輩の討論する姿がテレビで日本中に流れた。

広告が出て一週間もすると、壱億円特集を組む雑誌が書店の店先に並んだりした。

お笑い芸人たちが、テレビ番組で『壱億円もらい隊』とかいうチームを作り、はしゃいでいたのもその頃だった。

そして、締切りの５日前から登録者数の発表が始まった。

最初に発表された登録者数は、１９６０人だった。

その数が多いかどうかは別にして、その登録者数の発表をきっかけに登録申請者が増えた事は事実である。中には、○×探偵社とか△□調査会社のようなところも、名乗りをあげた。もちろん自社の宣伝行為としてだ。

この《俺を探し出したら壱億円あ～げる》広告から、日本中がある意味のお祭り状態に入ったのは間違いないと思われた。