「あのさ、単刀直入に聞くけどなんで振ったの?」

「降ったっていうか、距離置いたの」

「なんで?琴羽が嫉妬してたのは知ってる。あのあと颯人が教室でキスしてたのを見たんでしょ?」

「うん。」

「ほんとにキスしてた?」

「ほんとだよ。ドアの外だったからよく聞こえなかったけど会話の一部も聞いちゃったの。女の子に告白されててそれで颯人がいいよって言って女の子に顔を近づけたの」

「あたし、実はさ水谷に琴羽の気持ちを聞いてほしいって頼まれたんだ。」

「な、んで?」

「水谷、告白なんかされてないよ。ましてやキスなんかするわけないし。だってあたしと付き合ってた頃ですらしてなかったのに笑」

え、じゃあ私の勘違い…?

「え…」

「それでね、なんで琴羽は別れようなんて言ったの?本心なの?」

「違うの…本心じゃないの…あのときは頭の中がごちゃごちゃになってなにも考えられなかったの。そして悩んで悩んで悩んだ結果"別れる"って決断が出たの。ほんとは私だって別れようなんて言いたくなかった…距離だって置きたくない。颯人と普通に喋ったりご飯食べたりしたい。でもキスしてたって勘違いしてたから私よりあの子のほうがいいのかなって思ったの…」

「そんなこと水谷が思うと思う?水谷、神埼との電話で言ってたらしいよ。琴羽以外のやつとのキスなんてありえねえって。それだけ愛されてるんだよ」

「うっ…うっ…うえ…ん…」

ごめん、颯人
私の勝手な早とちりのせいでこんなに苦しい思いさせて…

「さあ、琴羽。水谷は琴羽と寄りを戻すためにがんばったんだから次は琴羽の番だよ」

「うんっ」