「一緒に居た、女の人って前言ってた?」



今は帰り道
夏が近づいているからか
まだ、明るい




「そうそう。なんか仲良くなってね」



「でもライバルなんでしょ?」



大ちゃんは心配してくれてるんだ
優しいから、



「私は諦めてるから良いの」



「それは、本当?」



顔を覗き込んで聞いてくる大ちゃんは卑怯だ
やっぱり、お見通しなんだね
ずっと一緒だもんな



「吹っ切れた、と言われれば嘘になるけど。でも可能性があるとか、そんな自惚れた事は考えてないよ」




これは事実であった。
小森先輩は愛花ちゃんが好きで
愛花ちゃんは小森先輩が好き。
これに気づかない2人は
バカなのか単純なのか…。




「そんなにさ、焦らなくてもいいよ」



「好きな人を忘れる、っていうのは難しい事だから」



「ゆっくりと自分成りに、ね?」




「ありがと、大ちゃん」





「辛い時、悲しい時、泣きたい時。俺が付いてるから」




そう言う大ちゃんは、〝幼馴染″ではなく
1人の男の人だった。