「お父さん!何でこんな早いの!?」

「じ、実は……な……」

おじさんの表情からして、なんだか深刻な事態が起こっている事は分かる。

まさか……

「と、倒産!?」

おばさんの声がその場に響き渡った。


「あぁ……朝会社に行ったら倒産……してて……社員も、会社の荷物も、何もなかった」

「そ、そんな……」

おばさんはその場に座り込んだ。


あのくそ親父……ここまで愛奈の事苦しめて楽しいのかよ……!


バンッ

俺は目の前にあった借金取りの車を蹴った。


「な、何すんだよ!」

「うるせぇ。お前ら、誰に命令されてやった」

「は?」

「言え。誰に命令された」

俺は借金取りの男を思いっきり睨んで、そいつの胸ぐらを掴んだ。

「な、何でそんなこと……」

「良いから早く言えよ!誰だよこんなこと命令したの!」

犯人は分かってる。
だけど、どうしてもこいつの口から聞きたかった。

多分確信を得たかったんだと思う。


「……あ、あんたの親父だよ。あんたの親父に命令されたんだよ」

やっぱり、俺の予想は当たっていた。


もう許さねぇ。
あのくそ親父、絶対地獄に落としてやる!


「雅也君?」

「おばさん、絶対助けます。その間は俺の家の部屋にいてください。学校に愛奈を後から迎えに行きます」

おばさんにそう言い残して、くそ親父の元に向かった。

正直作戦なんてない。
でも考えてる暇はない。
直球勝負で勝ってやる!