「お前……何で……」

雅也君の表情が曇る。

どうしたのかな?


「さっきね、お父様から電話があって、今から雅也と来て欲しいって。だから行こ!」

ズキッ

女の子は雅也君の腕を掴んで引っ張った。

10年前……私が掴んでいた腕。

今は雅也君の婚約者が掴んでる。

私心狭いな。
これだけでヤキモチ妬いちゃうなんて。


「え、いやでも学校「学校なんて良いから行くよ!」

女の子は雅也君の言葉を遮って、雅也君を引っ張って屋上を出ていった。

「……」

私は茫然とその場に立ち尽くした。


取らないでよ……
雅也君を私から離さないでよ……。


涙は出なかったけど、心で泣いた。