愛奈said

辛い……辛いよ……。

私のことなんて忘れて、あの女の人と結ばれたって言うの……?


また会おうって言ったじゃん……。

なのに……なのにどうして……。


なのにどうして貴方は……。



夕暮れの街で、道路を走る車の音を聞きながら私は涙を流した。



「どうしたの?」

いきなり聞こえてきた男の声。


「大丈夫?」

「……」

顔をあげると、そこには私の学校と同じ学校の男子の制服を着た男の子がいた。


「目真っ赤だよ!?そんなに泣くなんて……一体なにがあったの?」


この人……
本当に私のこと心配してくれてるんだ……。

だって……目が本当に大丈夫?って目してる。


「あ……あの……」

「取り合えず、涙拭いて?かわいい顔が台無しだよ?」

ドキッ

頭を撫でられて、心臓が跳び跳ねた。

こ、この人……優しい……。


「よし。やっと涙ひいた!で、何があったの?」

この人なら……話しても良い気がする。


「私……「あ、待って」



話そうとした時、私の言葉を遮った男の人。
どうしたんだろう?


「……」

「?あの……「やっぱり、良くないよね」

「え……?」

いきなり横に座っていたのに立ち上がって、言葉を紡ぐように言う。


「知らない人にそんな辛いこと言うなんてさ。話せる時になったら言って?俺、いつでも飛んでくから」

ドキッ

また頭撫でられた。
しかも笑ってる。
さっきも笑ってたけど。

「あ、でも女の子1人じゃ危ないよね。家まで送ってくよ」

「あ、良いです。ここから家近いので」

私……馬鹿だ。
あんな光景見てまだ雅也君に男の子と2人っきりのところ見られたくないって思ってるなんて。


「……そっか。気をつけてね。あ、メアド教えて!」

「え、何でですか?」

「だっていつでも飛んでいけないじゃん。話せる時にさ♪」

ほら。
そうやって優しい顔して笑うから。
またドキッってする。


「あ、あぁそっか」

ドキドキしてるのがバレないように、私は平静を保つ。


その後。
メアドを交換して別れた。

あの人の名前はメアドから分かった。

名前は結城拓斗。
私と同じ学校の同じ学年で私のクラスの隣のクラスらしい。


優しかったな。
同い年だけど、優しく包み込んでくれる大人の包容力って感じ(笑)

雅也君はもう私なんて見てない。

だったら……私だって……。