「やめろ!」

無意識に叫んでいた。

体が無意識に動くって、こういうことを言うんだな。


「ま、雅也……君?」

愛奈の泣きそうな声が聞こえた。


「何?勝手にしろって言ってたよな?」

こいつ……やっぱりこの前の……。
そういうことか。
あれはそういう意味だったのかよ。


「うるせぇ。良いから早くそいつから離れろ」

俺はわざとヤンキー男を睨む。
て、最初から睨んでたけど。

それで怯むと思ってたけど、あまかった。

「クスッ何今更かっこつけてんだよ」

怪しげな笑みを浮かべてヤンキー男は愛奈を抱きしめ……


「なっ!?」


愛奈にキスするなんてこいつ……何考えてんだよ!


「て、てめぇ!」

「何?あんたこの子とは何の関係もないんでしょ?だったら俺が愛奈に何しようと自由じゃん」

振り上げた俺の拳はそいつの言葉で開く。

ていうか

「てめぇ呼び捨て「もたもたしてると他の男にとられるよ?例えば俺とかニヤ」

「呼び捨てにすんな」って言おうとした俺はそいつの言葉で口ごもる。


何で……何でそういうこと俺に言うんだよ……。

俺が愛奈を好きだからか……?


「ま、雅也く「その名前で呼ぶな」

口から出たのはそんな冷たい言葉。

何故、心で思ってることとは正反対のことを言ってしまうんだろう。


「とにかく、早く帰れ」

愛奈に冷たく言って、俺はその場を去った。