翌日。
私はいつものように学校へ。


「おはよー結衣!」

「あ、おはよ。愛奈、もう大丈夫?」

「あ!忘れてた!今日数学小テストじゃん!」

「そうじゃなくて!昨日……あれから大丈夫だった?」

結衣……。

「うん!大丈夫!」

忘れるって決めたんだ。

だから雅也君のほうは見ない。

なのに……

「今日は早いなぁ佐川!」

何故だろう。

雅也君の名前を呼ぶ声がすると雅也君のほうを向いてしまう。

忘れたいのに……
忘れなくちゃいけないのに……。

無意識で雅也君を目で追ってる。

忘れたいのに……忘れられない。

「愛奈?大丈夫?」

「へ?あ、あぁうん!大丈夫だよ!」

挙動不審だよね、私。

きっと、結衣気づいてる。

私が雅也君を忘れようとしても出来ないってことに。


ー「愛奈」ー

小さい頃はそうやって気軽に呼びあってたのに……
なんでこうなっちゃったの……?


いけない。
また涙出ちゃう。

こら愛奈!
雅也君のことは忘れるって決めたんでしょ!


私は必死に泣くのを堪え

「じゃあ朝礼始めるぞー」

先生の話を聞いた。


その光景を雅也君が悲しそうに見てるなんて夢にも思わなかった。