「そうだね」


それでもアクアは共感し、うなずいてくれた。


「真珠が見つかれば、わたしは翔瑚といる理由もなくなって、ただ女王にそれを献上するため自分の世界へ帰るつもりだった。今だって、見つかったら理由なんてなくなっちゃう。だけど、一緒にいたいと思うから。翔瑚と離れたくないって思うから」

「アクアがそう言ってくれるから、真珠を探す。探せる。自分たちで決められるように。見つかってから、一緒に考えればいい」

「うん」


決心してしまえば、あとは行動するだけだ。
アクアは一緒にいたいと言ってくれる。それさえあれば、もう何も躊躇すべき理由なんかはなかった。


はっきりと言葉に出して、離れたくないんだと、確認できて。
いっしょにいたい、と。俺たちはお互いに思っている。


何かがやっと、繋がった気がした。枝分かれしていた道。
一緒にいられるわけがないとか、真珠を見つけるべきなのかどうかとか。

それがやっと、アクアと考えを共有できたことで、同じ形にまとまって、ひとつの道になって目の前に現れた。


「きっと真珠も、そろそろ見つかりたがってるよね」


「だよな」と言ってうなずいて、立ち上がった。2日ぶりの美しい海に触れたくなった。


「でも、人間に預けたって、本当かな」

「そうだね。でも、今では本当のように思える。陸で、本当に信頼している人に任せられるとしたら、それ以上安心な保管場所はないよ」

「そこまで信頼できてたってことは、アクアのおじいさんも、その人間とよく会っていたってことなのかな」

「わたしたちみたいだったのかもね」


案外、そうかもしれない。きっと何かの偶然で出会って、未知の世界の住人に惹かれて。
いつの時代にも、同じことは起こり得るだろう。