なんだか、聞き覚えのある声だと思ったんだ。


「お前…」

「ごめんなさい」

「いや、そうじゃなくて…」

「怪我とかしてないですか?」

「お前…月乃じゃねぇか?」

「…怪我はしてないみたいでよかったです」

最悪だ。

なんで。

なんで、この人がここにいるの。

「ぶつかってしまい、すみませんでした。急いでるので失礼します。」

「えっ、おい…!」

私はその声を振り払うように、走ってその場から逃げた。

なんで…

なんでいるんですか…


「伊崎先輩…」